最高裁判所第一小法廷 昭和25年(れ)1085号 判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
被告人本人の上告趣意について。
しかし、被告人の検察事務官に対する供述が強制又は威圧に依る不任意のものであることは、これを認むべき資料がなく、原判決挙示の証拠によれは原判決の認定を肯認することができるから、論旨一点は採用できない。その余の論旨の事実誤認、量刑不当等の主張は、すべて適法な上告理由となし難い。
弁護人飯田信一上告趣意について。
しかし、勾留が不法であるということだけでは原判決に対する適法な上告理由となし難く、また、不法勾留中の聽取書であるということだけではこれを無効と解すべき理由がないから、所論は採用し難い。しかのみならず、本件詐欺事件に対する適式な勾留状は記録中に現存するから(記録二〇四丁参照)、所論一は全く当らないし、また、所論二はその前提において採ることができない。
よって旧刑訴四四六条に從い主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 岩松三郎)